第8回グローカル感染症研究セミナーを開催しました。
大分大学グローカル感染症研究センターは、令和5年2月10日(金)に第8回グローカル感染症研究セミナーをハイブリッドで開催しました。第8回は、「最新版・トキソプラズマに対する生体防御とその破綻の分子機構」と題し、講師に山本 雅裕先生(大阪大学微生物病研究所感染病態分野 教授)を招いて実施し、配信会場とオンラインを合わせて20名が参加しました。
山本先生は大分県のご出身で、現在、医学部の非常勤講師として学部生の授業「寄生虫学」を担当しており、本センター兼任教員である小林隆志教授(医学部感染予防医学講座)と共同研究「先天性トキソプラズマ症の新規予防メカニズムの探索」も実施しています。
今回のセミナーでは、現在でも世界人口の約3分の1(日本においては人口の約10%)が感染していると言われているトキソプラズマ症(正常の宿主に対しては病原性を発揮しないが、宿主の抵抗力が弱っている時に病原性を発揮しておこる日和見感染症であり、重篤な症状を引き起こす病気)について、その原因となる病原性原虫のトキソプラズマが、どのようにして病気を引き起こすのか、また、対抗する宿主の生体防御(特に獲得免疫系)にどのようにして阻害され、対抗しているのか等、山本教授のこれまでの研究において得られた新しい知見の紹介を中心に最新の寄生虫免疫学の概説がありました。
研究全体に対する今後の展望として、「微生物学(寄生虫学)」と「感染免疫学」の2つの相互作用により新しい概念を見つけていきたいとの話があり、トキソプラズマの寄生虫免疫学に関心を持ち、これからやってみたいという学生等に向けては、トキソプラズマの知識がなくても「研究への情熱」があれば十分であると、励みになる心強い言葉をいただきました。