第10回グローカル感染症研究セミナーを開催しました。
大分大学グローカル感染症研究センターは、令和5年2月9日(木)に第10回グローカル感染症研究セミナーを開催しました。第10回は、「ゼノファジー研究の新展開:細菌糖鎖認識によるゼノファジー制御と細胞内侵入による高病原化機構の解析」と題し、講師に中川 一路先生(京都大学大学院医学研究科微生物感染症学分野 教授)を招いて実施しました。
今回のセミナーでは、「ゼノファジー」と呼ばれる、特に病原体をターゲットとしたオートファジー(細胞内の微生物に対する宿主細胞の新たな自然免疫)について、既に明らかになっている排除機能/殺菌機構の解説に加え、ゼノファジーの最も重要なポイントとなる非自己である病原体を選択的に捉える選択性(認識)に関して、これまで考えられてきたものとは異なる機構が存在する可能性や、A群連鎖球菌で問題となっている劇症型感染症(重篤な疾患で死亡率は30-40%、最近の日本で発症件数が激増しており懸念されている。)の菌の発生そのものにオートファジーが関与している可能性が高まってきており、これらについての最新の知見の紹介がありました。
セミナーはハイブリッドで実施し、配信会場では西園センター長を始め、関係する講座の研究者等、オンラインでは学内外から、合わせて約15名参加しました。講演後には、会場だけではなく、オンライン参加者からもメカニズムや抗菌薬に関する質問等があり、活発な意見交換が行われました。
中川先生は、本センター専任教員の三室仁美教授との共同研究において「細胞内感染による感染叢のヘテロジェナイティ誘導機構の解析」を進めており、こちらの課題においても本センターとの連携による新たな展開が期待されます。