第13回グローカル感染症研究セミナーを開催しました。
大分大学グローカル感染症研究センターは、令和5年2月21日(火)に第13回グローカル感染症研究セミナーをハイブリッドで開催しました。第13回は、「Beyond Tropical Medicine~微生物、宿主、地域を越境する21世紀の感染症研究を目指して」と題し、講師に城戸 康年先生(大阪公立大学大学院医学研究科 ウイルス学/寄生虫学分野 教授)を招いて実施し、配信会場とオンラインを合わせて29名が参加しました。
城戸先生は、本学医学部ご出身で、卒業後の数年間は、本センター副センター長の山岡 生教授の医学部環境・予防医学講座で研究を実施していました。
初めに、今回の大きなテーマである新興・再興感染症は、現在、気候変動などの地球規模課題も加わり、21世紀の人類の重要な課題となっていること、また、熱帯医学(Tropical Medicine)の分野においては、かつてのインターナショナル・ヘルスやグローバルヘルスといったものから、「地球と人間は別々の存在ではなく、相互依存関係にあることを前提に置き、全ての生態系と地球の健康の共存を目指す」という考え方のプラネタリーヘルスが浸透してきているとの紹介がありました。
その考え方に基づき、セミナーでは、まず前半に、城戸先生が研究拠点を置くアフリカ大陸や中南米で行ったフィールドサーベイと分子疫学研究の成果について、主にシャーガス病(寄生性の原虫であるクルーズトリパノゾーマによる感染症)の試験データ等を中心に、現地での様子を記録した写真を交えながら紹介がありました。
後半では、約3年前に突然出現し、未だに私たちの脅威となっている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関して、その免疫応答に注目し、ワクチン免疫と自然感染免疫の比較解析研究から明らかとなった抗体の質や構造に関する新たな知見について講演いただきました。
非常に興味深い内容のお話に、終了予定時刻を超えても質疑応答が続き、盛況のうちに終了しました。